静かに原型と対話をしている大桃君を目にすることがある。静寂と緊張感をはらみながらゆったりと他者を拒否している。作品を見るとそこにはちょっとズレを感じる。こちらはゆったりと見るものを招き入れてくれているようである。
大桃君は、ブロンズや真鍮の金属の鋳造を基に作品を展開してきた。卒業制作は植物的なものをイメージし、真鍮の鋳物を研磨したシャープな造形を提示していた。修了制作は躍動感あふれた動的な大型の作品で自身の身体的限界を確認でもしているかのようであった。
このころから鋳物の制作上の工程で内部を空洞にすることに造形的に疑問を感じ始め、この修了作品では内部を意図的に見せる試みをしていたと思う。これ以降も内部の問題、また視覚を決定づける表層についてそれぞれの作品の中に課題として取り込みながら発表を続けてきた。
今回発表する作品もその辺の問題を含みながら生命の根源的な力強さにひかれて制作したとのことであった。美術界の現状や作家のことなどよく勉強しており、制作する姿勢もあまりぶれがなく熱心な青年である。だが作品は、ユーモラスでもあり、情念的でもあり、いろいろと語り始めてくる。
この本人と作品のズレが、また、より興味をわかせられる要因であるように思える。今回は、鋳物の質感というよりもその原型である鋳造用のワックス(蝋)の質感を捉え、そのワックスの話を聞きながら成立した作品群である。

大桃洋三(おおもも・ようぞう)
1979 新潟県に生まれる
2001 長岡造形大学造形学部産業デザイン学科 卒業
2002 四人展「METAL WORKS」(新潟市美術館市民ギャラリー)
0000 第八回(財)素形材ものづくりコンテスト(パシフィコ横浜)
0000 「素形材デザイン賞」受賞
2003 長岡造形大学大学院造形研究科 終了
0000 第三十三回新潟県芸術美術展「奨励賞」受賞
2005 4forme展(画廊Full Moon)
0000 2005蔚山韓日現代美術展(韓国)
0000 アートナウKANAZAWA第44回北陸中日美術展(石川県立美術館)
柏崎市、ギャラリー13代目長兵衛にて個展を予定(2006年5月20日〜31日) |

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初冬のある日、私は一本の木を見つめていた。
葉はすでに枯れ落ち、一見弱々しく感じるが、
よく観察するとそれは思い込みだと気づかされる。
躍動する枝は、内包する精気を放出するかのように力強く伸び、
太々とした幹は、張り出す肉塊のように隆起していた。
その姿は植物という言葉からは連想されない
動物的な魅力に溢れ、その悦びが感じられた。
また、それを私に雄弁に語りかけてくるようでもあった。
私はその声に耳を傾け、ここに語りだすカタチを実らせた。
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