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晴雨計・05
「能代川に生きる」
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旗野秀人(新潟の水辺を考える会会員)
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田植えの忙しさも一段落した5月の半ば、久しぶりに映画「阿賀に生きる」を上映させてもらう機会を得た。主催はJA五泉よつば会・年金友の会である。いまだに「JA」にはなじめずピンとこないでいる私に会長さんが教えてくれた。「まあ、早く言えば農協の老人クラブですよ」。確かにスーツを着こなしている会長さんにしても老いてはいるものの、がっしりとした骨格と、長年大地と格闘してきたであろうその大きな手を見れば納得できる。会場の老人福祉センターには定刻の午前9時半を過ぎたころからようやく人が寄ってきた。7、80歳の人生の先達にとって30分やそこらの目盛りはきっとないに違いない。すでに準備を終えた私とカメラマンの村井勇さんはそのへんの様子を楽しく観察させてもらった。
「大事なもんが入ってんだ。預かってさ」といってバックを置いていく人。どうもそこには缶ビールが入っているらしい。このセンターには浴場もあるようで「タオルを忘れてきた。貸してさ」といって開場の2時間も前に来ている人などもいた。
「これは久しぶりにいい上映会になるぞ」という私たちの予感は的中した。フィルムが回り始めると、のっけから「おうお、こりゃ大変だ」と鹿瀬の長谷川さん夫婦の稲刈りのシーンにまず感嘆の声。そして「温泉さ行ってるようなもんではねえわ」のミヤエさんのセリフで大爆笑。会場の男衆はやはりサケ漁や舟造りで反応し、盛りあがる。私の隣りにいたおばあさんが見終わって言った。「おらあ、嫁にきたころの難儀したこと思い出したわね。いい映画見せてもろうでありがてがったでね」。きっと画面に自身の80年の人生を重ねて見てくれたのだろうと思う。すっかりうれしい気分になってしまった私たちはずうずうしくも懇親会にまで座らせてもらったのだが「いがったよ、とってもいがった。次はおらなんこども撮ってさ、『能代川に生きる』ってやつをさ」と、盛んにビールを注がれ、まいってしまった。
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