画廊Full Moon では昨年につづき2度目の個展である。今回の作品は、「不可視なものへの眼差し」という副題で、前回のように植物の形状をそのまま使用するのではなく、身の回りにある機械部品の形態要素を通過させて立ち現れた作品群と、人体の形状を母体として機械的要素とは対角にある有機的フォルムの集合体の内容となっている。
作品の素材はブロンズや真鍮の合金物である。鋳金の面白さは、自分の構想をもとに鋳型を作り、金属を熔解して流し込むまでのダイナミック工程と、金属が凝固してから自分のイメージとのズレを修正していく仕上げの工程の中の自由さにあると思うが、それぞれ時間をじっくりとかけることが多い。その時間の集積で作品が成立していく。
大桃君は、その工程ごとにものを造る根源的な衝動に駆られているように制作に打ち込む。鋳物になるまで材質もいろいろと変化していく。途中の工程で見られた形状をそのまま完成までもっていくことは少なく、途中で組み合わされたり、削り取られたりと流動的である。
工程で完成間近の作品を見ると、機械部品的形状と自然の形状のせめぎ合いのような作品は、だいぶ洗練されてきた印象ですっきりとしていた。
また人体の形状を母体とした作品は、無駄が多くもたついた印象であるのだが、なぜか心に残り、ものを造るということ、工程の領域というものを意識しながらもう一度作品に触れたくなるものがあった。
不可視である大桃君の本体は、後者の作品に凝縮されているように感じられてならない。