展示記録

2007年3月23日〜4月1日

「新月が蒔く種々」(一部)
  ブロンズ、大理石 120×120×140mm

大桃洋三展
「不可視なものへの眼差し」

大桃洋三(おおもも ようぞう)

1979 長岡市に生まれる
2001 長岡造形大学造形研究科産業デザイン学科 卒業
2002 グループ展「METAL WORKS」(新潟市美術館市民ギャラリー)
第8回ものづくりコンテスト素形材デザイン賞(パシフィコ横浜)
2003 長岡造形大学大学院造形研究科修了/修了制作・優秀賞
2004 第33回県芸術美術展 奨励賞(新潟県民会館)
2005 グループ展「4 forme」(画廊Full Moon)
日韓現代美術交流展(韓国)
第44回アート・ナウKANAZAWA 北陸中日美術展(石川県立美術館)
2006 個展「大桃洋三 語りだすカタチ」(画廊Full Moon)
個展「大桃洋三 2001―2006」(柏崎・ギャラリー13代目長兵衛)
グループ展「骨壺展」(十日町・ギャラリー6坪)
その他の活動
全国高校生セーフティデザインコンテストトロフィー・デザイン制作
長岡市都市景観賞記念品・制作

Full Moon ●2005年 3月23日〜29日
2006年 3月24日〜4月02日





作品を形成する時間の集積

赤沼潔(東京藝術大助教授)

 
 画廊Full Moon では昨年につづき2度目の個展である。今回の作品は、「不可視なものへの眼差し」という副題で、前回のように植物の形状をそのまま使用するのではなく、身の回りにある機械部品の形態要素を通過させて立ち現れた作品群と、人体の形状を母体として機械的要素とは対角にある有機的フォルムの集合体の内容となっている。
 作品の素材はブロンズや真鍮の合金物である。鋳金の面白さは、自分の構想をもとに鋳型を作り、金属を熔解して流し込むまでのダイナミック工程と、金属が凝固してから自分のイメージとのズレを修正していく仕上げの工程の中の自由さにあると思うが、それぞれ時間をじっくりとかけることが多い。その時間の集積で作品が成立していく。
 大桃君は、その工程ごとにものを造る根源的な衝動に駆られているように制作に打ち込む。鋳物になるまで材質もいろいろと変化していく。途中の工程で見られた形状をそのまま完成までもっていくことは少なく、途中で組み合わされたり、削り取られたりと流動的である。
 工程で完成間近の作品を見ると、機械部品的形状と自然の形状のせめぎ合いのような作品は、だいぶ洗練されてきた印象ですっきりとしていた。
 また人体の形状を母体とした作品は、無駄が多くもたついた印象であるのだが、なぜか心に残り、ものを造るということ、工程の領域というものを意識しながらもう一度作品に触れたくなるものがあった。
 不可視である大桃君の本体は、後者の作品に凝縮されているように感じられてならない。

2007年3月23日 新潟日報 掲載