展示記録

2007年11月13日〜25日

アンドシュ・プローデル展
 「陶と平面」
―パリからの風―

Andoche Praudel(アンドシュ・プローデル)
■1950年キュブラック(フランス)生まれ。パリ・ナンテール大学で美術・哲学を専攻。80年から作家活動開始。86年からルーブル美術館のアトリエ講座担当。メキシコ・サンミゲル美術大学で陶芸制作を開始。89年陶芸家・谷川章三氏と出会い、93・95・97各年数ヶ月日本に滞在し制作と発表をする。86年からパリ・メキシコ・東京・京都・大阪他にて個展多数開催。99年フランス外務省の奨学金で京都日仏会館分館でアーティストレジデンスにて4ヶ月滞在、日本の陶芸を研究し「日本の陶芸-起源から2000年mで」を執筆出版。以来毎年日本での展覧会を継続。パリ在住。



自然に同化し美探る

アンドシュ・プローデル

 
交流から深まる陶芸の道

  1997年にパリで開催された縄文土器の展覧会を見て、私は電撃的ショックを受けた。縄文の風のなごりが残るこの新潟の地を今回訪ねることができて大変幸せに感じるとともに、弥彦村の友人の工房、アトリエ・プチポワに滞在し制作できたことに感謝している。そして、この地で私の作品を紹介できることも。
 私は50年にフランス・リモージュ近郊で生まれた。そこはラスコーの洞窟から15キロの所で、小学生のころ旧石器時代のものといわれるその動物壁画を見たことが、私の作家活動の原点となっている。現在はパリに生活の拠点を置き、陶作品の制作、陶土の採取、写真の撮影は、生地であるルビニャックという小さな村で行っている。
 私は70年、パリ・ナンテール大学に入学した。哲学を専攻した後、絵画制作に没頭した。
 人はいったい何を必要としているのか。食べ、そして飲むことのみだろうか。否、人は名状し難いものに飢え渇いており、文明はそれを芸術と呼ぶ。
 80年からはメキシコ・サンミゲル美術大学で陶芸制作を始めた。そして89年、当地で日本人陶芸家の谷田章三氏と出会った。
 陶芸において、フランスと日本の間には考え方に大きな差異がある。ルネサンス以降、西洋の人々の間では、例えば飲食の道具というような「芸術の実用性」は拒否されてきた。陶制作は芸術として発展するチャンスが全くなかったのだ。
 陶制作者たちは、そのテーマを建築・彫刻・絵画などのメジャーアートの中に求めるしかなかった。
 私にとって日本の文化との出会いは、私の好奇心を目覚めさせ発展させる必然的なことだった。絵画にむなしく求めていたものが、80年代のメキシコで谷田氏と仕事をするうちにたちまち見いだされた。素材が変身して行き、混沌が仕事を進めて行く。
 93年に、初めて日本の土を踏んだ。以来、ほぼ毎年日本を訪れている。滞在中は、愛知県常滑市の鯉江良二氏をはじめとして多数の陶芸家の工房で制作し、15代目樂吉左衛門氏とのかかわりにおいて、陶制作は瞑想によって支えられているという、重要なひとつの方向性を、見いだした。
 東洋の考え方に接しているうちにわかってきたことは、仏教思想には無秩序や偶然に対してキリスト教思想とは全く異なる見方があるということだ。アジアの国々ではとてつもなく悲惨なことも、人の善行悪行の結果としてではなく、自然界のなす業の一部として受け入れる。そこにわび寂びといった美学がある。そのそぎ落とされた本質の原理が、私たちを感動させる。
 アーティストとして私は、日本の考え方の中に自分により近いものを感じた。概念的な分析をもって何かに当てはまる法則を模索するのではなく、自然に帰する方法をもって自らがそれに同化する道を探すこと、だ。アーティストとは、何かに翻弄されても力で抵抗するのではなく、柔軟性とインスピレーションを駆使することを知る者ではないだろうか。
       (翻訳・内田美代子)

2007年11月9日 新潟日報 掲載




同時期開催
新潟絵屋「アンドシュ・プローデル展 ―パリからの風―」
2007年11月12日〜20日