展示記録

2008年3月7日〜16日

大桃洋三展

 私は貝殻を見つめているとそこに引き込まれ、ゆるやかな時間の流れを感じることがあります。この度の展示では、そういったときに生まれた「深く静かな眠りからのゆるやかな目覚め」というイメージから制作が始まりました。
 制作を通して鋳物が内包していくもの、それが私の求める時間の流れを現してくれるように感じています。

大桃洋三(おおもも・ようぞう)
1979 長岡市に生まれる
2001 長岡造形大学造形研究科産業デザイン学科 卒業
2002 四人展「METAL WORKS」(新潟市美術館市民ギャラリー)/第8回ものづくりコンテスト「素形材デザイン賞」受賞(パシフィコ横浜)
2003 長岡造形大学大学院造形研究科 終了 終了制作・優秀賞
/第33回新潟県芸術美術展「奨励賞」受賞(新潟県民会館)
2005 グループ展「4 forme」(画廊Full Moon)/Korea Japan contemporary art festival(韓国・蔚山)/第44回アート・ナウKANAZAWA 北陸中日美術展(石川県立美術館)
2006 個展(画廊Full Moon)/個展(ギャラリー13代目長兵衛)
20070 個展(画廊Full Moon)/「CAST OUR NOW ! 長岡造形大学赤沼研究室の13年」(新潟絵屋)/弥彦野外アート展(弥彦)/ロクロク展(ギャラリー6坪)/第4回佐野ルネッサンス鋳金展 奨励賞(栃木・佐野市文化会館)


内面に渦巻く生気みなぎる

斉藤優介(燕市産業史料館学芸員)

 
 大桃洋三は、新潟で活躍する若き造形作家である。
 現在二十代の彼の思いは、金属を溶かし自由に造形する鋳金によって生み出される。長岡造形大在学中に出合った金属の表情に魅せられように、作品を作り続ける。
 2007年、鋳金作家の登竜門である佐野ルネッサンス鋳金展で奨励賞を受賞したのをきっかけに、創作活動をさらに活発化させ、さまざまな作品を発表している。
 作品展には、小品を含め新作が50点ほど並ぶ。今回は、近年には無い世界観を構築する。コンセプトは、貝殻を見詰めている時に生まれた「深く静かな眠りからのゆるやかな目覚め」である。
 夢の中の出来事は、非日常であるが日常とは切り離せないものである。作品もまた非日常であるが、それがどのようにわれわれの生活空間につながっていくのか、あるいはつなげていくのか、楽しみである。
 モチーフの貝殻は、内面における「殻」を表し、今その殻を破り自己を確立していく過程であるかのようだ。作品はまだまだ荒削りだが、内面には渦巻く生気がみなぎっている。眠りから覚めると同時に作家から離れ、わき上がる胎動を聞きながら浜辺に打ち上げられた貝殻たちのように会場を漂う。作り手から離れた作品は何を語り掛けるだろうか。
 若き造形作家には、自己と向き合いせめぎ合いながらも、新潟を挑発し続けて欲しい。

2008年3月6日 新潟日報 掲載