大桃洋三は、新潟で活躍する若き造形作家である。
現在二十代の彼の思いは、金属を溶かし自由に造形する鋳金によって生み出される。長岡造形大在学中に出合った金属の表情に魅せられように、作品を作り続ける。
2007年、鋳金作家の登竜門である佐野ルネッサンス鋳金展で奨励賞を受賞したのをきっかけに、創作活動をさらに活発化させ、さまざまな作品を発表している。
作品展には、小品を含め新作が50点ほど並ぶ。今回は、近年には無い世界観を構築する。コンセプトは、貝殻を見詰めている時に生まれた「深く静かな眠りからのゆるやかな目覚め」である。
夢の中の出来事は、非日常であるが日常とは切り離せないものである。作品もまた非日常であるが、それがどのようにわれわれの生活空間につながっていくのか、あるいはつなげていくのか、楽しみである。
モチーフの貝殻は、内面における「殻」を表し、今その殻を破り自己を確立していく過程であるかのようだ。作品はまだまだ荒削りだが、内面には渦巻く生気がみなぎっている。眠りから覚めると同時に作家から離れ、わき上がる胎動を聞きながら浜辺に打ち上げられた貝殻たちのように会場を漂う。作り手から離れた作品は何を語り掛けるだろうか。
若き造形作家には、自己と向き合いせめぎ合いながらも、新潟を挑発し続けて欲しい。