佐藤の作品を最初に見たのは、2004年のなびす画廊の個展のときだった。重厚な画面が発する強烈なエネルギーのようなものを感じた印象がある。それが2007年8月の横浜で行われた11人の若い作家による「メタ展」では、圧倒的な迫力で見る者に襲いかかるような大画面だった。この部屋は照明を落として全体を暗くして、なおかつ暗い中にほのかに浮かび上がるような佐藤の画面が、細長い部屋の半分の壁を占めていた。作者自身「地中」を描くというように、地中の中の悠久の時間の流れが描かれているような画面であった。土の組成も生命と同じように、長い時間の経過の中で生成と発展の歴史を進行させている。作者の内面は、この地中の緩慢な動きに重ねあわされている。
最近の若い人たちによる日本画は、実験的な試みも見せていろいろな可能性を秘めた分野となっている。大和絵や琳派のように色彩豊かに“描く”日本画ではなく、岩絵の具の画材としての可能性を探る試みや、佐藤のように和紙に土や砂、金属粉などの物質と絵の具を混ぜて染み込ませ、強固な絵肌作りを目指す者もいる。こうした佐藤の地味ながらも粘り強い作業は、作者の思考の基礎としての地固めの意味を持っているのではないだろうか。文字通り地に根ざすスタンスに立って、日本画の枠を超えて表現の根源を問う作品になっている。今後の成長が期待される新人の一人である。