「何かこどもの落書きみたいなのない?」山谷氏のリクエストに、わが家のお宝を見せた。次に会った時には、それは楽しげな花のオブジェのデッサンになっていた。「人体と古代と宇宙をぐちゃぐちゃにして神秘性を表現したい」というのが彼の主宰するボッテーガ・ジラソーレ(ひまわり工房)の変わらぬコンセプト。アートのある生活。里山が色づき始めた旧下田村の住まいを訪ねた。
レトロな小学校のような外観のお宅の居間でキャンドルにともるあかりでお抹茶をいただく。器はポルトガル人の作という波の蒼色。とらわれない無国籍の風情が何とも自由で愉快でうれしい。
彼の出発点は、反骨精神あふれる青春時代を通り過ぎて目指したイタリアントラッド、メンズファッションの世界。最近は鉄・ガラス・布等、さび、ひびも美しいと感じられる変化する素材に引かれると語る。
さて、新潟市では5回目となる今回の個展。テーマは「白古」。白くて古いイメージだそうだ。13年前ブランド設立の際訪れたフィンランドで、生活の原点は「光」だと実感したという。それ以来今日まで一貫して心に浴びるあかりを表現して来た。作業場に無造作に置かれた大型の作品と共に、個展用に、普段違いのキャンドルスタンド等の小品も製作中。古い町屋の画廊では「闇」も意識させるあかりの演出が、より趣を増して提示されるであろう。どんな豊かな余韻の時間がそこに流れることになるのか楽しみである。