展示記録

2009年6月12日〜6月28日

上原木呂 時の万華鏡
アンティエ・グメルス ひかり体験
  〜満月の出会い

アンティエ・グメルス(Antye・Gummels)
1962年旧西ドイツ、レーゲンスブルグ生まれ。78年(15歳)イタリア・サンレモのアーティスト村に移住後、87年来日し、現在も新潟市在住。初めての個展「Gods, Devils & Friends」を麻布工芸美術館(東京)で開催。その後、新潟市、東京のほか、ニューヨーク、ウラジオストックなど海外でも個展開催(計24回)。国内外でグループ展多数。
http://blogs.yahoo.co.jp/antjeartlife
http://www.antjegummels.com <http://www.antjegummels.com/

上原木呂
(うえはら きろ)
1948年新潟生まれ。東京芸大・芸術学科と美学校細密画工房に学ぶ。1977年にイタリアに渡りイタリア仮面喜劇の演劇活動に入るが、1988年父の病状悪化により帰国。以降酒造業に従事。2004年初個展「幻獣絵図」(新潟絵屋)、種村季弘による個展推薦文「上原木呂・浮力場の鳥獣戯画」は種村季弘著「断片としての世界」に掲載される。2008年4月個展「幻獣絵図2008」(新潟・ギャラリー蔵織)、9月「鬼放展 ダダカン2008・糸井貫二の人と作品」企画プロデュース、自作のコラージュを出品する。
http://wakasugiya-kiro.blog.so-net.ne.jp/(蔵元木呂の酒造雑記帳)

↑上原木呂「雪中飛翔図」
 2007年 横28×34cm 木版画、石版画、雑誌切り抜き

←アンティエ・グメルス
 「Transparent Self Portrait with Water, Fire, Light and Air」

 2008年 300cm x 60cm
 Mixed Media, Rhinestones, Mirror, Silver, Gold on Canvas


引き寄せられ 遠ざけられる点

大倉宏(美術評論家)

 
 1月、画廊の小さな空間を、星のような数の小さな絵を茂らせ森厳な聖堂に変容させたアンティエ・グメルスが、今度は大作を中心とする個展を開いている。大きな絵なのに、小さな点に、吸い寄せられていく私がいる。
 不思議な点だ。それは今、ここ、に打たれているのに、見つめていると、一挙に空間と時間の無限遠に引き寄せられる。そしてその引力と同じくらい強い斥力で、無限遠に吹き飛ばされる。吸い寄せられる私と、遠ざかる私。裂かれて消えた私の今、ここ、が、満たされて燃える空白=光=になっている。
 点は水のように流れ、星のようにきらめき、火のようにゆらめきながら、人体を透視する。美しい不思議な大画面を織り出していく。引き寄せられながら、遠ざけられるめまいが絵全体にもある。点が、小さい絵が、一つひとつ違うように、これらの大きな絵もみな違う。が、同時に同じ「ひとつ」を語ろうとしているようだ。
 隕石の衝突のように訪れた体験(ひかり体験)へのこれらは応答であり、太古の人が初めて出会ったものに動揺のうちに「名」を生み返したように、近年の彼女の爆発的制作すべてが、絵という言葉によるそれへの根源的発語=名付け=なのだと知れながら感じる。
 同じ画廊内ではシュールレアリスト上原木呂のコラージュ展も同時開催中。浮世絵の閑雅な美女と鳥や爬虫類のイメージが並列に接続され、浮遊感とくすぐり感を内包する低圧電流が、目の血管をめぐりはじめるようで、楽しい。

2009年6月12日 新潟日報 掲載