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にいがた水紀行・21
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通船川はよみがえるか?
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小船井秀一
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新潟市の東部、河度・山の下あたりを横切って流れる通船川は、ぼくの子供の時から「きったない川」という評判だった。実際、チャリンコでたまにその辺に遊びに行ったりすると、工場からの煙の臭いと川からの臭いとが、風に乗って鼻をついた。たくさんの工場から排出される汚れ切った廃液が、通船川を「死の川」にしてしまっている、という話だった。確かに、水の色はどす黒くよどみ、およそ生き物がそこに住んでいるとは思われない感じだった。 けれど、だからこの川が嫌いだったかというと、必ずしもそうではなかったような気もする。ポンポンポンと音をたててのんびりと川面を走って行く船。そのうしろには、でっかい丸太を何本も組んだいかだが引っ張られている。そんな光景を眺めながら、ぼくも何だかのんびりした気持ちになったりしたものだ。 近年、環境問題への関心の高まりとともに、この川の汚れ具合も問題にされ、本流である阿賀野川の水を導入した結果、汚れは少しばかり改善されたという話も聞いた。 そんな中、この通船川の観察会が催されるという話を聞いたので、四月の下旬、とるものもとりあえず参加してみた。場所は、ジャスコ新潟東店の裏手の、第一貯水場とその上手の水門の所。新潟市東地区公民館と新潟の水辺を考える会の共催である。 この日は、時折激しい雨が降ってはやむという、なんとも困った天気。しかも気温はさっぱり上がらぬ肌寒い中での観察会だったが、それでも老若男女30人近くが参加した。 インストラクターを務めてくれたのは、「自然案内人」の井上信夫さんと、「昆虫博士」の石月升さん。二人は観察会の前日から、通船川や貯水場に網を仕掛け、この日に備えてくれていた。さて、その結果は? と、その前に、この川の印象を。 正直言うと、ぼくの子供の頃よりは、まだましかな、と思った。昔はほとんど真っ黒だったと思った水が、今回は泥水色だったから。それにしても、お世辞にもきれいだとは言えないのは確か。以前から通船川をきれいにしようと活動している星島卓美さんによると、川底には約2メートルものヘドロが堆積しているということだ。誰かがちょっと棒で底をかき回してみると、みるみる真っ黒いヘドロが底からわき上がってきた。同時に変な臭いもあたりに漂う。僕達はこんなにこの川を汚してきてしまったんだなあ、としみじみ思う。周囲には田畑が広々と広がっているが、そのための農業用水は通船川からでなく、阿賀野川の用水を使っているらしい。たぶん、あまりに汚れているために、とても使用することができないのだろう。それもなんだか寂しい話だ。それでも、水門の上のあたりでは、釣り人が静かに釣り糸を垂れているのが、なんだか心に残った。 下手には、貯水場が広がる。本当に広々としていて、雨降りのせいもあるが、向こう側がかすんでみえる。そんなでっかいプール状の水面に、ぶっとい丸太がびっしりと埋め尽くされている。ついそんな材木の上で遊びたくなってしまうところだが、万一水の中に落っこっちゃった日にゃ大変なことになるので(水の臭いが全身に染みついて落ちなくなるという話だ)、やめておく。 さて、網を引き揚げてみたらこりゃ驚いた。貯水場に一か所、川に一か所仕掛けてあったんだけど、どちらにもいっぱいかかってるのよ、魚が。それも、ばかでかいやつばっか。コイと見まごうばかりのゲンゴロウブナだの、体長30センチを超えるマルタウグイだの。何でこんなにでっかいの? と思うんだけど、早い話、水が富栄養化していて、そのせいで太っちゃうんだと。汚れを食って成長してるわけね。その他にも、マブナ、ウグイ、モツゴ、タモロコ、トウヨシノボリなどの魚がかかっていた。釣り人の話だと、コイやオイカワ、イトヨ、ライギョなんかも釣れるらしい。正直言って、こんなに魚がいるとは思わなかったので、意外な気持ちがしましたよ。ただし、どれも食えない。特に貯水場は、木材につく虫を殺すための殺虫剤が撒かれていて、そんな魚を食ったら「死にますよ」と脅かされてしまった。それに比べて、水棲昆虫のほうはさっぱりいなかった。石月さんが一所懸命探したんだけど、見つかったのはイトトンボのヤゴ、シオカラトンボのヤゴ、アメンボ、ヒメミズカマキリくらいで、それも数は少ない。「ヘドロの中には、昆虫がえさにできるものがないんでしょう」と石月さんは説明してくれた。 通船川は、死にかけているようで、しぶとく生きている、といった状態なのだと思う。この川を、人々の憩いの場として再生するのはかなり困難なことだろう。それでも、なんとかなったらいいな、と思う。かつては、今の何倍もの広さを持ち、貨客船が阿賀野川から信濃川へとたどっていったという。元々は阿賀野川の本流だという通船川。やりようによっては、すばらしい川に変身する可能性を秘めていると、信じたい。 というわけで(どういうわけだ)、新潟の水辺を考える会では、北陸建設弘済会の助成を得て、通船川再生の研究を始めた。大勢の市民の参加でよりよい成果を上げたい、ということなので、ちょっとでも興味を持った人は、「野次馬的に」気軽に参加してください。もちろん、ぼくも「野次馬」として参加させてもらうつもりだ。 連絡先は、新潟の水辺を考える会(025・263・2733)。
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