風だるま No. 53
新・にいがた水紀行・12

 
ビュー福島潟から福島潟を眺める
小船井秀一
 
  
 ゴールデンウィークも過ぎた初夏の週末の昼下がり、あまりに青い空とまぶしい日差しに誘われて、豊栄市の福島潟まで足を伸ばしてみた。新々バイパス競馬場インターを降りて葛塚方面へと向かい、町中を通りすぎると、広がる田園を切り開くような一本道になる。ほどなく、巨大な円錐を逆さに地面に突き刺したような建築物が見えてくる。新井郷川沿いに大きくカーブしていくと、その建物のふもとにたどり着く。駐車場から見上げるその建物は、近くで見ると意外に大きいことに気づく。それが、福島潟観察の拠点「ビュー福島潟」だ。
 中に入ると、一階のフロアは受付と物販のスペースだった。千円なりを払って年間券を購入。これで四階以上の展望スペースを一年間利用する権利を得る。
 渦巻き状に少しずつ上っていく通路を進んでいくと、ガラスケースに入ったさまざまな展示物が目を引く。オニバスの葉や羽根を広げたオオヒシクイの剥製、潟に住む魚や虫、草花などの派行ったショーケースが、ほぼ等間隔に並べられている。
 さらにぐるぐる進んでいくと、どんどん高いところへと向かっていくのが面白い。ガラス越しに外を見ると、水面と葦原を交互に並べたような福島潟が広がっている。中の方は、小さなホールになっていて、ミニライブとか講演会とかもできるようになっている。実際、その手のイベントも随時行われているらしい。
 んで、ついに屋上まで上り、福島潟の全景を見渡す。20ミリのレンズでないと、全景が入らないほど広い。面積は193ヘクタールだそうだが、干拓によって大部分が田んぼに変わってしまう前はいったいどれほどの広さだったのか、想像するとなんだかくらくらしてくる。周囲に目をやると、キチンと区画された美田が広がっている。潟のずっと向こう側には、五頭の山並みが、初夏の空気の中で霞みながら連なっている。
 そんな風景を見るには、この「ビュー福島潟」というのはなかなか都合のいい建物だと思う。水面と同じ高さに立って湖を眺めてみても、その広さはなかなか実感できるもんじゃない。高いところから見下ろすことで、初めてその広がりを実感できるわけで。そういう意味で、この建物があることは素直にありがたい、と思う。
 デザイン的にはあんまりよくないんじゃないか、ということを指摘する人もいる。まあ、賛否両論あることは確かだろう。だがね、だったらどんな建物だったらいいの? っていうことにならないかね。はっきり言やあ、自然状態が広がってる場所には、どんなデザインの建物だって「よくない」に決まってるんですよ。極論すれば、「これだけの自然が残っている福島潟のほとりにはどんな建物だって立てちゃダメ」てなことになると思う。しかしまあ、僕はそこまでは言いたくない。高いところから見下ろすっていうアングルを得たことで、福島潟はまた新しい魅力をアピールできている、と思うからだ。
 もちろん、だからといって、自然豊かな場所にはすべてそういう建物が必要っていうわけじゃないよ。西○だかコ○ドだかが経営しているプリ○スホテルグループみたいに、国立公園の中でもどういうわけか平気で建物を建てちゃうっていうのは大問題だし。つまりは、そういう施設がどうしても必要だというなら、それぞれの場所の条件に応じて、自然を極力壊さないよう、さらに、みんなの合意をキチンと形成する、という手順を経てから建てるべきだ、ということをいってるわけで。
 しかしまあ、こんなに広い湿地帯が、こんなふうにまだ残っているってことは、実に結構なことだと思うし、今となってみれば貴重だと実感する。大昔、低湿地で潟や水路だらけだった新潟平野の風情を今に残しているわけだから。こんなところは、全国を探してみても、北海道あたりを除けば、そうはないと思うし。
 てなことを言ってるうちに、本題の福島潟めぐりのことを書くスペースがなくなっちゃったんで、続きは次回ということで。
(というわけで次号に続く)

  

 
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